展示作品

開催中

2016年7月1日(金) 〜 2016年12月25日(日)

千住博・四季「秋冬」展

B2ポスター

「The Fall」の発表以降、千住博は滝を表現する際、水流を次第に抽象化していき、色彩についても黒い背景だけではなく群青などの色を用いるようになりました。滝の黒い背景が“夜や宇宙空間”を示すのなら、群青の背景は“昼や空(天)”を示していると解釈することができます。こうした変化を通じて、ウォーターフォールシリーズは表現の領域を大きく広げていくわけですが、その中でも特筆すべき試みが、蛍光塗料の採用でした。蛍光塗料で描いた滝は、ブラックライトで照らされることによって水流が青白く発光します。このように、滝の水流に用いる顔料を胡粉から蛍光塗料に替えることによって、千住博は、より神秘的な滝を表現することに成功したのです。神秘的な滝の獲得は、千住博が目指してきた、作品と宇宙(天)との結びつきを前進させる意味でも、とても大きな効果をもたらしました。また、日本画の顔料として現代の素材である蛍光塗料を用いたことは、現代を生きる私たちの心に強くリアリティーを感じさせるものとなり、伝統的な日本画を現代に結びつける試みとしても大変注目を集めました。

春と夏をテーマにした作品群と、初期から中期にかけての作品を展示した「春夏展」に引き続き、「秋冬展」では、2015年のヴェネツィア・ビエンナーレで特別展示された24mの大作「Ryujin(龍神)Ⅰ・Ⅱ」をはじめ、様々な発展を遂げたウォーターフォールシリーズ、雲の組成を紙面上で再現したスカイシリーズ、岩石の組成を同じく紙面上で再現した崖シリーズなど、多様なモチーフで描かれた中期以降の作品をご紹介します。

また、季節にちなんだ作品としては、秋の訪れの気配を耽美的に描いた六曲一双の屏風絵の新作「晩夏」と、六曲二双の屏風絵の大作「湖畔初秋図」「湖畔に蜻蛉図」(※)なども併せて発表します。金箔による余白を秋の余韻あふれる陽光として用いたこれらの屏風絵は、日本美術の伝統的な技法を今に伝えるものとしても、とても価値ある作品と言えます。

類まれなる才能が、いよいよ世界からも注目され始めた中期以降の千住博。本展は、その作品表現の変遷を通して、千住博が今なお追求し続ける美の境地を探っていきます。

※「湖畔初秋図」と「湖畔に蜻蛉図」は、作品に一部破損が見つかりましたので、現在、公開を中止させていただいております。大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承の程お願い申し上げます。

A4チラシ秋冬展入稿